僕は僕(前編)
■HIMインタビュー■
I am What I am Ekin Cheng
笑傲江湖 鄭伊健
時に、遊びはある種の原動力となり、浮世のしがらみを笑いとばせるのがLiving Big(大いなる生活)の本質でもある。今を生き、目の前にある一つ一つの事にベストを尽くし、過程を楽しむ。五年先の計画を一つ一つ決めていくことと、迫りくる現実に直面して口ばかりで何もしないことを比べてみても、結局、私たちは瞬時に物事が千変万化する時代に生きていて、ほとんどのことは天のなりゆきにまかせるしかない。 目の前にいる鄭伊健は、今を生きることにおいては正に敬虔な信徒だ・・・。
あなたにとって「大いなる生活」って何?
「うーん、僕の今の生活みたいなことかな。仕事があって、友達がいて、恋愛して、プライベートの時間が充実してる。もしずっとこういう生活が維持できたらとてもいい。バランスのとれた生活をするのは容易なことじゃないんだ。」
■鄭伊健(プロフィール)■
伊健は当初CMモデルと子供番組の司会者として、のちに有名な歌手兼映画俳優として成長。デビューから今まで、多くのブランドのCMキャラクターとチャリティ大使となり、20枚のオリジナルCDを発売している。また運動神経の良さを生かして多くのマンガのキャラクターやアクション映画、「風雲」シリーズ、「Feel100%」シリーズ、「古惑仔」シリーズを含む役柄を演じてきた。また、その他に注目作として「暗戦2」「千機變」「戀之風景」「三岔口」などに出演している。最近では「第一誡」で第12回韓国富川国際ファンタスティック映画祭の最優秀主演男優賞を受賞している。新作「親密」では大きな子供のイメージを一新し、信頼できる管理職のイメージを構築、好評を博している。
**************
いつも鄭伊健が現れる場所は、総じて雰囲気がリラックスしたものに変わる。あるいは、伊健がもともと天性のコミュニケーターで、彼の積極的な態度がその場にいる一人一人に伝染するのかもしれない。
目の前にいる伊健は、陳浩南のようなワルの雰囲気はほとんどなく、華英雄のような暗く沈んだ雰囲気もない。自信にあふれた眼光はかつての「Feel100%」の中のJerryのようではあるが、もちろん、あのマンガの中の若者からはずいぶん大人になった。成熟、それが伊健の新作「親密」の中での演技に説得力を与えている。
新作の中では、伊健が演じているトムは、典型的な香港の中産階級で、家や車のローンを払い家族を養い、仕事に縛られてちょっと息苦しさを感じていて、ゴルフという趣味でさえ仕事上の接待や付き合いのためにやることで、その一歩一歩が生き残りのための綱渡りとなっている人だ。このような役柄は、苦悩や心配とは無縁な伊健とは少しも関係ないように思えるのだが。
「僕だって悩みがないわけじゃない。ただ遊ぶのがちょっと好きなだけ。」伊健はトムという役にも共鳴するところがあるのだと冗談を言った。「実際トムはとても可哀想だよ。彼は家族の生活がもっと良くなるように望んでいる、無駄な仕事の時間が彼の人生を占領し、いわゆる将来を建設する過程の中で、進む方向を見失っているのが明らかだ。多くの香港人とトムは同じ、生活のためでなく生存のために、車や家のローンという負担を背負ってる。でも、自分が背負いきれるか、いつまで持つかどうか考えたことがあるだろうか?」
結婚は決められた行動ではない
大部分の人にとって、結婚して家のローンを払うのは人生の避けられない段階と言えるが、伊健には別の見方があるようだ。「多くのことは、必ずしもやらなければいけないことではない。伝統的にいえば、僕たちは成長して大人になると結婚しなければいけない、それから次の世代を生み育てなければいけない。この時代に生きていて、昔の人が決めた制度の多くが、もう時代に合っていないと感じたことはないだろうか?結婚は僕らの父母にとっては、一世一代のこと、共白髪まで、なんていうよね。僕たちの世代にとっては、子供を育てた後は別々にくらそう、我慢は終わり、それぞれやりたいように生きよう。さらにその次の世代では、結婚も離婚も普通のこと、結婚は一時のショー、一時のゲーム。僕が結婚を選択しないのは、必要がないから。二人が一緒にいて、おたがいできることをやれればそれでいい。」
伊健は結婚はしないと言うが、子供を持つ計画もないと言っている。
「僕らの年代では、次の世代にこういう問題に直面させるかどうか考えるのが自然なこと。僕の今の考えは、計画はないけど、危機意識はある。この世界は混乱しすぎている。友達の子供たちを見ていると、たとえ両親が厳しくしつけても、子供たちが一歩外に出てこの世界と接触し始めたら、両親でさえもうコントロールできないようだ。人として、両親というは自分の子供だけは悪い子にはならない、将来はきっと礼儀正しく責任感のある子になるはず、と思うもの。でも、現実には多くの例が語っているように、良い子たちも外国に留学させると、悪い習慣に染まって、すぐに金食い虫になり、毎月家族が送ってくる生活費だけを頼りにするようになり、両親を怒らせるだけでどうしようもない。こんな例を僕はたくさん見てきた。人として、両親を悲しませるなんて本当に心配なことだよ。」
恋愛は利己的なもの、真の愛を求めるのは難しい。
伊健の恋愛は、どれだけプライバシーが叫ばれていたとしても、毎回白日のもとにさらされる。周慧敏と倪震のカップルのようにドラマチックで二転三転するものでないとしても、常にマスコミの注目の的だった。「奪麵雙琪」「伊嘉の恋」と前の恋愛が次の恋に続く導火線として派手に書き立てられた。ニュースが本当か嘘かはともかく、恋愛に直面した時、自分が自分勝手でないと言う人なんていないと思うのだが…。
「恋愛なんて絶対利己的に決まってる。好き、嫌いも利己的だよ。人は群れて生きる生き物。でも個人という考え方もある。多くの人は、付き合っていればそれはつまり愛だって言うけど、実際のところ愛って何だろう?付き合い始めたころは『好き』、それからしばらく一緒にいたとしても、本当はまだ『愛』にまでは達していない。『愛』は長い歳月を経て、最後の最後でようやく『愛』って呼べるものになるんだと思う。その時が来たら、もうそれは愛情ではなくて、単なる情だという人もいる。僕はそうは思わない。愛情はほしがればすぐ手に入るようなものじゃない。長い時間を経てこそ証明できるもの。しかも軽々しく手にすることはできない、時間が育むもの、それこそ愛情だと思う」
「人は動物だから、セックスもするだろう。でもある日性生活の必要がなくなり、彼女と一緒にいる時間を独占しなくなり、純粋に心の交流だけになったとき、残るものはつまり愛だと思う。だから、ある年代になったときに本当に愛を見つけることができるんだ。ラブラブな時は絶対相手を独占したいものだし、自分は相手を愛していても、相手に愛してもらえないのであれば、もちろんありえない。」
恋愛というのは、もともと自分だけがわかっていることだ。それでもなお、芸能人の毎度の恋愛のいきさつについては週刊誌の表紙になってしまうものだ。それは芸能人なら避けられないことという人もいるが、伊健は今に至ってもやはり納得できないという。
「僕はずっと慣れることはできないと思う。何も知らない人にプライバシーを侵害されて攻撃を受けるなんて、慣れるわけがないよ。強盗に遭ったら通報するだろう?でもパパラッチが僕の家の前に車で乗りつけて嫌がらせをしても、誰も僕を助けることはできないんだ。騒いで僕の家の中の写真を撮るなんて、実際のところ盗みに入られるのと変わりない。でも捕まえても意味がない。また、彼らが刑務所に入ることもない。こういう脅威は形のないもので、僕には安心感がないんだ。
こう思う人もいる。『君は芸能人だから折り込み済みだろう?』僕はそう思わない。何をもって折り込み済みだなんて言うんだろう?こういう侵略的な取材の仕方は、一般の人が勝手に写真を撮られてインターネットに晒されたり、雑誌に載ったりするところまで発展してきている。科学技術の発達を恨むしかないね。みんなが使い方を誤るからこんなことになるんだ。」
香港人は痛みを失った
「時代の流れが速すぎて、科学技術は発達し、生活は豊かになり、人はだんだん痛みを忘れてきている。」
伊健は、近年香港では社会の変化が速すぎて、香港人もまた人情を解さなくなってきていると思っている。
「80年代、90年代では、香港人はまだ助け合いの精神を守っていた。僕らの年代では、年上の人を敬い、席を譲り、車を運転している時には止まってお年寄りには道を譲ることを知っている。でも、2000年を過ぎた後から、香港人は変わってきた。車の運転ではマナーがない、死にかけている人を見ても、医療関係者でありながら助けもしない、どんな基準で免許を出しているのかは知らないが、人情があるなら、見殺しにすることなんかできないはずだ。つまりみんなが感覚をなくしているから、どんな事情であれ、痛みを感じないということ。」伊健はまた、人々が変わってしまったら、その態度を元に戻すのはとても難しい、だから自分は周りの人から見ても、もっと良い行いをしないといけないと思っている、と話した。
情けは人のためならず
近年、伊健は積極的に環境保護活動やチャリティ活動に参加している。既にWWFの海洋大使や、また隣舎大使でもある彼は、芸能人の社会的責任も見つめている。
「最近芸能人のマイナスなニュースが多い。僕と林珊珊は同じ理念を持っている。たくさんの仕事をするというのは、単にお金を稼ぐとか自分の宣伝をすることだけではない。もしある慈善団体が僕たちを利用することで彼らの助けになるならばやろう、彼らを手伝うことができれば僕たちも嬉しい。」
社会の各階層の人々と接触することで、伊健は、自分でもたくさんの発見があったと言う。
「林珊珊はいつも違った仕事を探してきてくれる。なんでもやるけど、こういう仕事をとおして、他の人が僕のことをもっとわかってくれると、自分でもやりがいがあるんだ」彼はまた、時間のあるときには車を運転して旺角へ行き、大衆の視察」をするのだという。「芸能人をしていると人ごみに行くのが不便なこともある。でも大衆の生活状況を理解しなければいけない。この世界でいま何が起こっているか見ないといけない。芸能人の世界観は実際のところかなり狭い、特に俳優をやるなら、普段からこういう機会をとらえてたくさん観察をする必要がある。」
<続く>
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)








































最近のコメント