鄭伊健 マウンテンバイクで野外を駆け巡る
(東TOUCH493号 2004年11月9日号)
鄭伊健は遊び好きというのは既知の通り、ゲーム好き、最新テクノロジーが好き、写真を撮るのが好き、まるで家にとじこもって頭を使う遊びが好きな男の子みたいだが、実はこの大きな子供はアウトドアの活動も大好きなのだ。スキューバダイビングが好きで、旅行が好きで、今回のテーマ、マウンテンバイクもその趣味の一つ。オフロードの高速運転もお手のもの、もっと難しい動作だって軽々と、ウィリーもゆうゆうとこなす。疑う人は、一体彼がどれだけすごいかを見るといい。
自転車はどこでも走れる
ロケの前日、効果をさらに上げるために、友人からプロが使うダウンヒル用バイクを借りてきた。一見普通の自転車と同じに見えるが、実は知る人ぞ知る、普通の人が乗りこなすには難しい自転車である。撮影前にはずっとウォーミングアップをしていて、マウンテンバイクに乗るや生き生きと乗りこなす伊健を見て、余計な心配だったとわかった。というのも、この腕白坊主には、既にオフロードの経験があったからなのだ。
「わりと早い時期にモトクロスバイクの経験はあったけど、ここ数年はマウンテンバイクに変えた。もともと友達が一緒に買って乗ろうって言い出したんだけど、すっぽかされて自分だけが買ったので、一人で乗り始めたんだ。実は、特にどこかへ行って遊ぶというわけじゃない、自転車を買ったときはもう西貢に住んでいたから、時々運動の爲に乗っていた。それに、運動する時にいちいち目標を決めるのは面倒だ。暇な時に思い立ってどこかへ食事に行って、見たい景色を見て、写真を撮ってまた自転車をこいで出かけるのが気持ちいい。」
戦場は陸上から海上へ
ご存知の通り、伊健は新しいもの好きな人で、自転車がその一種の運動であるということに留まらない。
世の中で彼の試したことがないものは果たしてあるのだろうか?最近はまた何か新しい遊びにはまっているのだろうか?
「実は、とてもやってみたくてまだやったことがないことはたくさんあるよ。スカイダイビングとか、ラフティングとかもとてもやってみたい。人生はとても短いのだから、人生最後の記憶に、どうしてなにも試さなかったんだろう、なんて思いたくないよね?最近はロッククライミングをしてる。最高に楽しいよ。でも、比較的時間を取るのが難しいので、暇な時にはなるべく行くようにしてる。他にも、今年はサーフィンを習えると思う、実はしばらく前に習いたいと思っていたけど、時間も教えてくれる人もいなかったんだ。チャンスがあったらすぐ習いたい、できれば今年の冬に習えるといいな、そしたら外国に行くんだ。」
イギリスへ行き猫にからかわれる
はるばるイギリスへ赴いたのは、キヤノンのカメラの広告を撮影するためだけで、真面目な話、お金をもらって飛行機のチケットを買い、宿も食事もついてくる海外旅行に行くのは、他の人から見たらきっと気分が良いことに感じられるだろう。もちろん、伊健だってそう思うだろうが、彼はみんなが思っているほど満足しているわけではないのだ。
「実際、イギリスの撮影では一つ面白いことがあった。もともと、そこの景色を撮影するためにイギリスに行く必要があったのに、なぜか一日中スタジオにいて撮影をしていた。どうしてだか実はわからないけど。でも、多分撮影機材は比較的良かった。照明器具や角度も確かに少し違っていたからね。」
しかしながら、山が連なり水辺も広がっているイギリスのような土地にいたら、さぞかし忘れ難い出来事があるに違いないが、伊健が挙げたのは一匹の猫と夕食の出来事だった。
「広告の中には、僕以外に猫が一匹出てくる。最初の二日間は僕が先に撮影して、その後猫の番。そうして毎日そのように何時間か過ごしてホテルに戻っていた。その後スタッフが、これでは上手く行かないとわかって、猫を先に撮影して、僕をその後撮影するようやりかたを変えた。なんでこんなに時間がかかるのか、時間をかけても猫さえ動かせないのか、すごく可笑しかった。それから、食事のことでもおもしろいことがあった。初日には朝食が充実してるのがわかった。ソーセージも卵もスープもある。ランチまでビュッフェスタイルで、やったー!と思ってたら、夕食になったらたった一個のパンとお茶だけ、ほんとに騙されたと思ったよ。もともとイギリス人は朝食と昼食を重視して、夕食はあまり食べない。完全に僕達の主張と反対で、その後は自分で夕食は何を食べるか決めて用意するしかなかった。今思うに本当に可笑しかったよ。」と、伊健は笑う。
波を撮るのが好き
「愛拍浪」という三文字を見て、違う意味にとってはいけない。
伊健が海岸で波とたわむれる、ということではなくて、彼の宝物であるカメラで、人と波が一体化する瞬間を撮るのが好き、ということなのだ。
「もともと写真を撮られるのは好きだけど、結局は写真を撮られるというのは仕事の一部だから、あまり自由度はない。写真を撮ることは自分が動いてすることだから、もっと自由な感覚がある。でも、人をテーマに撮るよりも、風景を撮るのが一番好きだ。最近は、波が岩にぶつかる一瞬を撮るのに夢中になっている。特に、誰かが岸辺にいるとき、波がその人にかぶさってくる瞬間、波は人を呑み込んで頭だけが波間に浮かんでいる、そんな景色は絶対普通ではありえないくらい魅力的だよ」伊健は興奮しているように見えた。
~~~~~~
伊健が人に与える印象は、総じて子供っぽい。ぱたぱた走りまわってじっとしていられない大きな子供のようだ。正直に言って、人から言われなければ彼がもう37歳だとは思わない。年齢を意識するということについて、すぐに人からこう問われることがある。
「いい大人なんだからいい加減落ちついたらどうだい!」
これに対して、伊健はとてもいい例を挙げて答えた。
「子供の頃、ローラースケート場に行くと、いつもスーツを着たおじさんがローラースケートをしていた。内心まず思ったことは、『あんなおじさんなのにまだ遊んでるよ』ということ。その場の人たちはみんな白い目で見ていたけれど、彼を見ればそんなことにはおかまいなしに楽しそうだったのがわかる。今は、とうとうその感覚がわかるようになったんだ。もともと、やりたい、という気持ちがあれば、そして機会がある